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アニメ

きみの声をとどけたい

劇場公開日 2018年9月28日
神奈川県の海辺にある町、日ノ坂町に住む行合なぎさは、龍ノ口かえで・土橋雫の2人の幼馴染と同じ神奈川県立日ノ坂高校に通っている高校2年の女子高生。なぎさは幼いころ、祖母に「コトダマ」の存在を教えられ、それ以来「コトダマ」の存在を信じている。「コトダマ」とは「言った言葉には魂が宿っており、言った言葉は、良い事は万人にわたり、悪いことは自分に返って来る」というものである。なぎさには「コトダマ」が見える。嘗て小学生だった時、運動会でかえでが浜須賀夕に対して「転んじゃえば良いのに」と陰口をたたいたことがあった。その時、かえで自身の発言から現れた薄青色の「コトダマ」が足に当たって消えた後、徒競走でかえでが転倒してしまうところを目の当たりにしたことから、「コトダマ」の存在が真実であると確信している。ゆえに、言葉遣いの悪いかえでの発言にストレスを抱えることも多い。そんな時は近所にある蛙口寺の鐘を突いて鐘の中に入り、鐘の音の響きに乗じて周囲に声が漏れにくい僅かな時間を利用して大声で言いたいことを言うのが彼女独自のストレス発散方法である。

ある日、鐘を突いた後に偶然見かけた蛙が暑がっているように見えたため、蛙の為に「雨でも降れば良いのに」と言ってしまい、たちまち雨が降り出してしまう。傘を持っていなかったなぎさは、自転車に乗って大急ぎで帰路に就くが、雨が強くなってきたので途中で諦め、雨宿りをすることにした。喫茶店らしき店に入るも誰もおらず、なぜか中にはラジオの放送機材や沢山のレコードが置いてあり、すぐに使用できる状態で保存されていた。なぎさは母のみつえがよく鼻歌する曲のレコードを見つけて再生しながら、ラジオDJの真似事をしてみる。最後に自身のメールアドレスを紹介し、雨が上がったのを確認して帰宅する。

翌日、なぎさのメールにラジオ放送を聴いたという着信が入っていた。なぎさはただの真似事だと思っていたが、実際に電波が届いていたのである。メールの主は矢沢紫音。彼女は、かつて喫茶店兼ミニFMラジオ局「アクアマリン」を経営し、自らDJを担当していた矢沢朱音の娘だという。DJをしていた朱音は12年前、父親(紫音の祖父)と共に交通事故に遭い、父親はその時に亡くなり、朱音本人もそれ以来、現在に至るまで昏睡状態に陥っていた。営業できる者が居なくなってしまったため、店は廃業も同然の状態となり、事故に遭って以来現在に至るまで放送・営業されていない状態が続いていた。

なぎさは、往時の「アクアマリン」のことについて電器屋「川袋電器店」の店主、川袋佐武郎に事の詳細を聴き、朱音が現在、日ノ坂町にあるリハビリセンターに入院していることを知る。メールでのニュアンスから既に朱音が亡くなっていると思っていたなぎさは、朱音が生きていることを知って安堵する。朱音の病室へ赴くと、傍らに置いてあったラジオから紫音の「お母さん、聞こえますか」の声とともに紫色の「コトダマ」として現れるも、朱音の元に届く直前に消滅してしまう。急ぎ喫茶「アクアマリン」へ向かったなぎさは、紫音と対面する。紫音を元気づけることと、朱音の目が覚めるきっかけになればとの想いから、なぎさはラジオ「アクアマリン」の復活プロジェクトを企画する。

紫音は母親が交通事故に遭って昏睡状態に陥ってしまって以来、家庭の事情に巻き込まれて転校が多く、友人がいないことをなぎさに話す。紫音の心境を察したなぎさは、かえでと雫を新しい友人として紹介し、4人でDJをするようになる。4人で放送をするといっても、基本的に素人であるため、ラジオについては何も知らない。そんな時、「藍色仮面」と名乗るラジオマニアの人物からメールが入る。彼女の正体は、なぎさたちと同じ学校に通う女子高生の中原あやめだった。あやめはラジオ好きが高じてラジオについてはとても詳しく、放送上の表現方法や、放送音楽の著作権上の問題などを解説し、ラジオのイロハについてなぎさたちに詳しく教えてくれた。さらにジングルの作成などを提案し、湘南音楽学院に通う友人、琵琶小路乙葉を連れてくる。乙葉によってジングルや楽曲もいくつか制作された。

プロジェクトを成功させるためにはリスナーを増やす必要があることから、ポスターを作って商店街に貼り出し、ラジオ「アクアマリン」が復活することを大々的に呼びかけると、放送当時の「アクアマリン」を知る人が思いのほか多かったことがわかり、プロジェクトは地域住民から大いに歓迎された。佐武郎も喫茶店の「アクアマリン」の常連客の一人だったことが判り、さらに使用されていた機材は全て川袋電器店で調達したものだったことも判明する。ラジオ「アクアマリン」の復活を知った佐武郎は涙を流して喜び、劣化機材の修理や電波の拡張工事などを請け負い、プロジェクトに全面協力してくれることとなった。

一方、なぎさたちとは違う高校である私立・鶴ヶ岡女子学園高校に通う夕は、同校のラクロス部で新部長になるも、厳し過ぎてついていけなくなった部員たちに嫌われて集団で退部届を出され、部長として受け入れられていないことに思い悩んでいた。そのことを知ったかえでは、悪態つきつつも夕に対してラジオを通じて励ましの言葉を贈るのだった。

夏休みが終わりに近づいてきたある日、なぎさはひょんなことから「アクアマリン」が近いうちに取り壊され、隣接する空き地と合わせてコンビニが開業する予定であることを父親の鉄男から聴かされる。急いで「アクアマリン」に出向くと、既に工事業者が店内の椅子などの什器の搬出作業を行っている最中だった。中に入ると紫音と夕が居た。紫音によると、実は前々から朱音の転院と、建物の売却・取り壊しが決まっていたという。そこにかえでと雫、さらにあやめと乙葉も入ってきて、全員が「アクアマリン」の解体を知ることとなる。

事情を聴き知ったかえでは、なぜ黙っていたのかと紫音を責めるが、紫音は「あなたたちが勝手に盛り上がっていただけ」と悪態で応じる。さらに、土地の買収とコンビニ経営を企画していた人物が夕の祖父、浜須賀長介だったことが判る。夕は長介に頼んで解体作業の開始を延期してくれるように便宜を図るから夏休みが終わるまではラジオ放送を続けるべきだと紫音を論すが、かえでは夕の言葉の端々に「お爺様」の単語が出てくることにイラつきを抑えられず、その「お爺様」である長介が「アクアマリン」を買い占めたからこういう事態になっているのだと苦言を呈して夕を責め、かえでと夕の間で口論になる。そんなかえでの発言に怒ったなぎさが、かえでにビンタを喰らわす。メンバー同士の心がバラバラになりかけ、ラジオも歌も全てがダメになってしまう危機を迎え、そんな状況を余所に数日後「アクアマリン」は無情にも取り壊されてしまう。

夏休み最終日の8月31日。矢沢家は朱音を転院させるために車に乗り、家族で日ノ坂町を発とうとしていた。渋滞で車がしばらく動きそうにない中、紫音は薄紫色の「コトダマ」を見る。はっとした紫音は父親にラジオをつけてもらい、すぐさま周波数を「アクアマリン」に合わせる。すると、建物がなくなって廃局になったはずの「アクアマリン」が放送をしていた。放送場所は蛙口寺の境内からで、最後の放送になると聴き知った街の住人たちが境内に集まっていたのである。建物取り壊しの際に放送機材も処分されたと思われたが、実は川袋電器店が事前に全て引き取って管理してくれていたのだった。

紫音は徐々に動く車のなか、ここではラジオの電波が届かないから戻ってほしいと頼み、町に引き返してもらう。みんなで練習した曲が流れ、紫音も泣きながら歌う。すると、歌を歌っているなぎさや紫音たちだけでなく、同じ気持ちで集まっていた者たちからも沢山の「コトダマ」が現れる。それは誰もが目に見ることのできる確かな「コトダマ」であった。その沢山の「コトダマ」が朱音の心に触れ、朱音を12年間にわたる昏睡状態から解き放ち、遂に目覚めさせる。

夏休みが明けた後、夕はラクロス部の部長に復帰する。それに触発されたかえでもやる気を取り戻し、厳しい練習を部員たちに課して頑張っており、そこには厳しい練習に付き合わされてウンザリしているなぎさたちの姿もあった。将来の目標を見つけたなぎさは数年後、TOKYO FMでラジオパーソナリティの職に就いていた。そして、高校時代の自分に「コトダマが出てないよ」と言われてしまわないように日々頑張っている彼女の姿がそこにあった。
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本編
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